eCPMは普段どおりなのに収益が下がっている。あるいは、広告リクエストは変わらないのに インプレッションだけ落ちている。この組み合わせは、ほぼ必ずフィルレートの 低下を意味します。リクエストは来ているのに、そのうち広告で応答できた割合が減っている状態です。 eCPMの低下(=価格の問題)とは違い、フィルの低下は配信の問題で、原因も対処も まったく別物です。読み解き方を説明します。
まず、自分が見ている「フィル」がどちらの指標かをはっきりさせてください。ネットワークは 2種類を定義していて、壊れる理由が異なります。
- マッチ率 / フィルレート = マッチ(充填)リクエスト ÷ 広告リクエスト。 通常動くのはこちら。低下=送ったリクエストに対してオークション/ウォーターフォールが 広告を返せていない。
- 表示率 / インプレッション率 = インプレッション ÷ 充填リクエスト。 こちらが落ちたなら、広告は返ってきたのにアプリが表示できていない=アプリ/SDKの タイミング不具合で、需要の問題ではありません。
どちらが動いたか分かったら、次の原因を順番に当たります。最初の3つが定番です。
1. ポリシー/配信制限(最初に除外する)
最も打撃が大きく、最も見落とされる原因がこれです。ネットワークがあるアプリの広告配信を 静かに制限しているケース。AdMobではlimited ads(広告配信制限)/部分的な措置、AppLovin等にも同等の仕組みがあります。フィルは即座に崩れ、しかも 1アプリ・1国に集中することが多く、コード上にエラーは出ません。気づけるのは収益だけです。 何かをいじる前に、まずネットワークのポリシーセンターと広告配信ステータスを開いてください。アプリがフラグされていれば、フロアや メディエーションをどう変えても解決しません。
2. フロア(下限eCPM)が高すぎる
最近フロア(最低)eCPMを上げた、あるいは一度設定したまま市況が下がった場合、需要に対して 値付けが高すぎてオークションに落札者がいなくなり、リクエストが未充填になります。見分け方: フィルは落ちたのに、充填できたインプレッションのeCPMは高いまま、または不変。 つまり量を価格と引き換えにして、純収益を落としています。該当ユニット/国のフロアを段階的に 下げ、フィルが戻るかを見ます。フロアは自分で招くフィル低下の最頻原因です。
3. ビッダー/ネットワークの脱落
メディエーションでは、フィルの大部分を1〜2社の需要ソースが担っていることが多いです。 ビッダーが落ちると(APIキー失効、当該ネットワーク側の請求/アカウント保留、却下ステータス、 アップデート後のSDK/アダプタのバージョン不整合など)、その分のフィルが消え、残りの ネットワークでは埋めきれません。フィルを広告ソース別に分解し、1社に集中する低下なら、 原因はそのネットワーク自身のダッシュボードにあります。メディエーション側ではなく、 そちらでステータスを確認してください。
4. ジオ/需要ミックスの変化
フィルレートは国によって大きく変わります。UAキャンペーンで需要の薄い地域からの インストールが一晩で急増すると、どの国も悪化していないのにブレンドフィルが 下がります。その地域には全リクエストを埋めるだけの需要が単に無いからです。国別に分解して、 各国のフィルは安定しミックスだけが変わったなら、これはUA側の変化で、広告スタックを直す 問題ではありません。
5. リクエスト量が需要を追い越した(ペーシング/頻度の変更)
広告リクエストをより積極的に出すリリース(リフレッシュ間隔を短縮、配置を追加、頻度上限を 撤廃)を出すと、需要が充填できる以上にリクエストが増え、定義上フィルレートが下がります (充填インプレッション自体は横ばいや増加でも)。フィルが落ちたのと同時に広告リクエストが増えていないか、また低下の開始がアプリのリリース日と一致しないかを確認します。 一致するなら、原因はネットワークでなくアプリ側です。
結果の読み方
診断はたいてい4つのどれかに着地します。ポリシー措置(フラグを解消)、フロアが高すぎ(下げる)、1社ダウン(そのネットワーク側で復旧)、ミックス/量の変化(広告側は直すものがないことが多い)。1日を溶かす失敗は、 本当の原因がポリシーフラグなのに闇雲にフロアを下げる、あるいは1社が応答を止めただけなのに 市場のせいにすること。フィルを国別→広告ソース別に分解し、ポリシーセンターを確認する—— この順番でやれば、原因はおのずと名乗り出ます。
フィルが揺れるたびに、全アプリ・全国・全ソースでこの分解を手作業でやるのは大変です。そこを Mediation Oneが自動化します。メディエーションのCSVをアップロードすると、フィル低下が どの国・ユニット・ソースに集中しているかを切り分け、リクエスト量の急増と連動していないかも 指摘します。無料診断はCSVを1つアップするだけ——SDK不要・登録不要・データ保存なしです。